本稿では、新築住宅における内部結露のメカニズム、原因、影響、対策について詳しく解説します。
1. 結露の種類と基本的な仕組み
結露は大きく分けて以下の2種類があります。
- 表面結露:室内の暖かい空気が、冷たい窓ガラスや壁面に触れて温度が下がり、空気中の水蒸気が水滴となって現れる現象です。
- 内部結露:建物の壁内部、屋根裏、床下などで発生する結露で、目に見えない部分で進行するため、発見が遅れがちです。
結露が発生する基本的な仕組みは、空気が含むことのできる水蒸気量が温度によって変わることにあります。暖かい空気は多くの水蒸気を含むことができますが、冷たい空気はその量が限られています。そのため、暖かい空気が冷やされると含みきれなくなった水蒸気が水滴となって現れます。これが「結露」です。
2. 内部結露のメカニズム
新築住宅における内部結露は、特に高断熱・高気密住宅が普及する中で問題となっています。内部結露が発生する主なメカニズムは次の通りです。
2.1 温度差による結露
外気温が低い冬場、室内を暖房して暖かくすると、室内の暖かい空気が壁の内部に侵入します。この空気が断熱材を通過して外壁側へ移動する過程で、徐々に温度が下がります。ある一定の温度(露点温度)に達すると、空気中の水蒸気が水滴となり、結露が発生します。
2.2 水蒸気の移動
住宅の壁内には、目に見えないほどの微細な隙間が存在し、水蒸気が移動しやすい状態になっています。水蒸気は空気圧の高い室内側から低い室外側へ移動し、冷やされることで結露を引き起こします。特に高気密住宅では、隙間が少なく水蒸気の逃げ場がなくなるため、壁内部に結露が発生しやすくなります。
2.3 施工不良や設計上の問題
適切な防湿施工や断熱材の配置がされていない場合、内部結露が起こりやすくなります。例えば、気密層が途切れている部分や、断熱材に隙間がある場合、そこから水蒸気が侵入し、冷たい外壁面で結露します。
3. 内部結露の原因
新築住宅で内部結露が発生する主な原因は以下の通りです。
3.1 高気密・高断熱化
現代の住宅はエネルギー効率を高めるため、高気密・高断熱化が進んでいます。しかし、これにより湿気が逃げにくくなり、壁内部で水蒸気が滞留しやすくなります。
3.2 不適切な換気計画
室内の湿気を外部へ排出するためには、適切な換気が必要です。換気が不十分だと、室内の湿気が過剰になり、壁内部への水蒸気移動が増えるため結露が発生します。
3.3 防湿層の不備
防湿層とは、室内から壁内部へ水蒸気が侵入するのを防ぐための層です。施工が不適切で防湿層に隙間がある場合、水蒸気が壁内部へ入り込み、結露を引き起こします。
3.4 断熱材の施工不良
断熱材が適切に施工されていない場合、断熱材の隙間や欠損部分で温度差が生じ、そこに水蒸気が冷やされて結露が発生します。
4. 内部結露が与える影響
内部結露は建物の耐久性や住環境にさまざまな悪影響を与えます。
4.1 構造材の腐食
木造住宅では、内部結露が続くと構造材に含まれる水分が増加し、腐朽菌が繁殖します。これにより柱や梁が腐食し、建物の耐久性が著しく低下します。
4.2 カビの発生
湿気が高い状態が続くと、壁内部にカビが発生します。カビはアレルギーや喘息などの健康被害を引き起こすため、住む人の健康にも影響を与えます。
4.3 シロアリ被害
湿気が多い環境はシロアリの活動を促します。シロアリが構造材を食害すると、建物の強度が低下し、大きな修繕費用が必要になる場合があります。
4.4 断熱性能の低下
内部結露によって断熱材が湿ると、断熱性能が著しく低下します。これにより暖房効率が下がり、光熱費が増加する可能性があります。
5. 内部結露を防ぐための対策
内部結露を防ぐためには、設計段階から適切な対策が必要です。
5.1 適切な断熱材と防湿施工
・断熱材は隙間なく施工し、気密層や防湿層を正確に配置することが重要です。
・特に防湿層は室内側に設け、湿気が壁内部へ侵入しないようにします。
5.2 換気システムの導入
24時間換気システムを導入し、室内の湿気を適切に排出することが重要です。第三種換気システム(排気型)や熱交換型換気システムなど、住宅に合った換気方法を選定します。
5.3 透湿抵抗のバランス
外壁の材料や構造は、室内側から外側へ湿気が抜けるように設計する必要があります。外壁には透湿性の高い材料を使い、湿気が外部へ逃げる道を確保します。
5.4 適切な気密施工
気密性能を高めることで、室内の水蒸気が壁内部に侵入することを防ぎます。気密テープやシートを活用し、隙間を徹底的にふさぐことが求められます。
6. まとめ
新築住宅における内部結露は、建物の耐久性や住環境に大きな影響を与える問題です。特に高気密・高断熱住宅では、適切な施工と換気が不可欠です。施工段階で断熱材や防湿層の配置に細心の注意を払い、設計時には透湿抵抗や換気計画を考慮することで、内部結露のリスクを軽減することができます。
住まいは長期間にわたり快適に暮らせる場所であるべきです。そのためにも、内部結露の問題を理解し、適切な対策を講じることが重要です。建築業者や設計士との密な連携を行い、安心・安全な住まいづくりを実現しましょう。
WB工法では湿気が入り込んでも外気が構造材に当たり、常に新鮮な空気が行き渡るよう設計されています。
①外気を基礎から取り込むための開口部
②基礎内部の空気を1F壁内に取り込む為の土台欠きとり
③1F~2Fへと取り込む梁桁、2F壁内から小屋裏へ取り込む欠きとり
④小屋裏から外へ排出される開口部
これらの空気の流れが「木」を健康に保ち、そこに住まう人の健康を守ります。
性能の良い家を建てることだけでなくそれを永く残し維持すること、メンテナンスフリーの健康住宅はWB工法に決まりです!
丸和ホームの注文住宅では在来軸組み工法、プレウォール工法(モノコック構造)、WB工法など多数のラインナップの中からメリットとデメリットをお伝えしたうえでお選びいただいております。
営業 武岡